「音楽における神童の心理学-The Psychology of a music prodigy」by G. Revesz
まず、この3和音を注意深く聴き、ここに含まれる全ての音を、五線譜に書き留めてみてください。あなたは、何個の音を正確に聴きとる事ができたでしょうか?答えはページ中程にあります。2個?5個?12個?それだけ?
もし、あなたがこの24個の音のうち、たった20個しか正答できなければ、そして、一つでも音を間違えたらーーーーあなたは、この7歳児よりも音痴なのですよ。
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| 「音楽の神童の心理学」。オリジナルのドイツ語版は1913年に出版された。これは、英語版の初版本 (1925)で、しかも1974年7月19日付けのニレジハージ本人のサインが入った稀少本(筆者蔵)。 | ||
筆者が所持しているのは、1925年に発刊された英語の初版本で、1974年、復活後のニレジハージ本人の署名がある。著作権も切れているし、かといってこういった専門書は翻訳もされないものなので、図を引用しつつ、詳しく紹介していきたいと思う。
ニレジハージの幼年期について、この本に(1-9)の事が記載されている。
1) 1歳になる前に歌い出す。
2) 2歳の時、歌いかけられると、それを正確な音程で繰り返した。
3) 会話能力の遅延。3歳まで話すことができなかった。絶対音感は既に備わっており、歌を聴くと、それをピアノで正確に再現した。自分でメロディを作り始めた。
4) 4歳で、耳で聴いた全ての音符をピアノで正確に再現することができ、即興も行った。本格的な作曲を始めた。
5) 5歳で、ハンガリー音楽アカデミーの教授達の前で自作を演奏。6歳でアカデミーに入学。この時までに、舟歌、葬送行進曲、結婚行進曲などを作っていた。作品数点が出版された。
6) 絶対音感の中でも、もっとも完全な絶対音感、「complete absolute pitch」を持っている、類い稀な例だった。これは、超高域から、超低音域に渡る絶対音感で、狭い音域に限定される絶対音感を「regional absolute pitch」と言う。ほとんどの絶対音感保持者は、regionalなもののみである。7歳の時に行なった音感テストの結果、ニレジハージのcomplete absolute pitchのレベルは、過去の文献に記録されている中でも比べるものがないほど高かった、。彼の音感の正確さは、彼が機器で再現した音程の周波数測定によっても裏付けられた。それによれば、5Hz以下の誤差で、A=448Hzに基づいた音感だったという(現在の国際基準はA=440Hzであるが、この時代はA=440Hzに統一されていなかった。現在も東欧の基準ピッチは高めである)。レベジはなんともうかつにも、少年ニレジハージが使用していたピアノのピッチを計測していなかったのだが、おそらく、A=448Hzだったのだろう。
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| ニレジハージ少年の驚くべき聴音能力の一例。彼は、ピアノで弾かれた1と2のコードを1度聴き、その全ての音を正確に指摘した。3のコードについては、2度聴き、13音のうち、10の音を正しく指摘し、3音のみを抜かした。 実際の音を聴くとこうなる。 |
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| 偏る頭脳---左3枚のパネルは、彼が7歳から11歳の時に描いた、人、机、椅子、動物の「絵」である。特に、帽子をかぶった人物と机の描かれた真ん中のパネルだが、これが果たして、11歳の絵として真っ当なものと言えるだろうか。線の稚拙さはもとより、立体的な視点が全くなく、まるで3-4歳児が書いたような絵である。上は、同じ11歳の時に作曲された作品の一部で、複雑な和声を持つだけでなく、メランコリックな感情に溢れている。このコントラスト一つとってみても、彼が異常児だったことがわかる。彼はどんな精神世界にいたのだろう? | |||