ニノ・ロータ ピアノのためのファンタジア
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「ゴッドファーザー」「ロメオとジュリエット」「太陽がいっぱい」などの名作の映画音楽の作曲家として知られるニノ・ロータ(1911-1979)
は、自身をクラシック音楽の作曲家と見なしており、オペラ、室内楽曲、協奏曲など数多くの作品を残した。弟子のリッカルド・ムーティらがロータ作品の普及
に尽力している。
ロータが残した最も規模の大きなピアノ作品が1944-45にかけて作曲された「ピアノのためのファンタジア」で、この作品はロータの死後にヴェネツイア
で発見された。作曲者のロータはアルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリに初演してもらう事を希望していたが、作品が生前に弾かれたことは無かった
ようである。メランコリックな導入部から始まる曲は幻想的に、気ままに展開し、時にフェリーニ作品の音楽のようなノスタルジックな味わいも見せる。ロータ
らしい魅力的な旋律と、彼の作品につきものの展開力の弱さが表れている作品だ。
私がこの自筆譜を入手したのは8年前である。再現を目指したものの、ロータの悪筆ぶりに途中で挫折した。当時は未発表作品であったが、その数年後にドイツのSchott社が権利を取得し、楽譜を出版した。http://www.schott-musik.de/shop/Noten/show,137820.html
楽譜をSchott社から取り寄せて確認すると、自筆譜と細部が若干異なっていた。ニノ・ロータの娘さんであるニナ・ロータ女史に連絡を取ったところ、彼 女の従兄弟が運営しているヴェネツイアのロータ財団が興味を持つだろうとのこと。そこで、自筆譜をスキャンし、財団に自筆譜の素性を確認してもらった。財 団の解釈では、私の持つ自筆譜は第二版で、この後に書かれた第三版がSchottによって使われたために細部が異なっているとのことだった。http://www.youtube.com/watch?v=-uwulbMDyNo
(7/5/2013)